あかるい職場応援団
厚生労働省

「社内でパワハラ発生! 人事担当の方」他の企業はどうしてる?

【第20回】
労使で協力して解決する仕組み ―大手メーカーのH労働組合

取組のポイント 所在地

福岡県

  1. 労働協約の締結と就業規則の整備
  2. 労使で運営するハラスメント防止委員会
  3. 機関紙や職場集会を通して意識づけ
業種

労働組合

従業員数

約3,000人

全国6支部4分会で活動している大手メーカーのH労働組合。平成25年の春闘でパワーハラスメント対策を要求したところ、会社側の問題意識と一致して協約の締結に結び付いたとのこと。本部執行委員の方に話を伺いました。

春闘で要求し、労働協約を締結

厚生労働省から職場のパワーハラスメントの概念が発表され、労働局に寄せられる労働相談でも「いじめ・嫌がらせ」が急増するなど、社会で問題が顕在化してきています。組合でも、毎年実施している生活実態調査の中で、「改善したい制度や悩み・不安」として「人間関係」「上司とのコミュニケーション」「セクハラ・パワハラ対策」という項目が常に一定の割合であり、減少する兆しはありません。
こうした背景を踏まえて、働きやすい職場環境作りという観点から、平成25年の春闘の要求にパワーハラスメント対策を盛り込みました。会社側は、セクシュアルハラスメント対策には取り組んでいましたが、パワーハラスメントについては管理者教育に織り込むという活動にとどまっていました。今回の要求で、会社側とも問題意識を共有することができました。その結果、従来のセクシュアルハラスメントにパワーハラスメントの項目を加えた、「ハラスメントに関する覚え書き」として新たに労働協約を締結し、併せて就業規則も整備されました。

事案発生時に労使で解決する仕組みを整備

ハラスメントの取組で最も大切なのは未然に防止することですが、万一事案が発生した場合には速やかに事態を解決しなければなりません。 相談窓口としては、会社として各事業所に男女各1名の相談員を設置しています。組合の執行委員が相談員を担当している場合もあります。また、匿名で相談できるコンプライアンス110番受付窓口(外部)や労働組合でも相談を受け付けています。
相談内容によっては、必要に応じて各事業所の調査委員会での調査を経て、苦情処理委員会、賞罰委員会に上げて、対応を検討していく仕組みになっています。これらの委員会はすべて労使で構成されています。
また、労使での認識合わせと情報共有を目的に、労使でのハラスメント防止委員会を年1回開催しています。ここでは、委員会開催前に、会社が各地区の総務にヒアリングを実施してハラスメントの発生状況や相談状況を収集し、委員会で確認しています。

ハラスメント防止委員会

組合機関紙や職場集会が意識づけに

会社は管理職に対する教育を実施しています。労働組合としては、組合機関紙にハラスメントの情報を掲載したり、職場集会で説明したりすることで、従業員の意識づけを図っています。
パワーハラスメントについて説明する場合、どこからがパワーハラスメントになるのかの線引きが大変難しいのですが、具体的な事例を出して、参加者に一緒に考えてもらうようにしました。設問を10個ほど作って、パワーハラスメントに該当するかどうか、○×をつけてもらいました。人によって考え方や立場も違い、様々な意見が出ましたが、パワーハラスメントについて考える良い機会になったと思います。

相談しやすい環境作りが課題

相談窓口や事案が発生したときの対応の仕組みなどは整備されましたが、現在までのところ具体的な事案は発生していません。しかし、表面に出てきていないだけで潜在的なものがあるかもしれないという危惧があります。それが自分一人で解決できるレベルであればよいのですが、相談をしたいが職場の人間関係に影響し、働きにくくなることを心配して躊躇しているのかもしれません。支部からも、相談しやすい環境や仕組みの整備が必要という意見が出ていますので、それがこれからの課題です。
会社も組合も、ハラスメントについて強い問題意識を持っているということを従業員に知ってもらうための情報発信を継続していくことが、相談しやすい雰囲気作りにつながっていくものと考えています。

事例をお聞きして・・・

労働組合としていち早く対策に取り組まれ、早速、労働協約の締結という成果に結び付けていました。仕組みを整備し、中身の充実に取り組む段階で、労使が協力することで取組がスピードアップされているようです。会社にとっても従業員にとっても、ハラスメントは百害あって一利なし。労使で問題意識を共有して進めることでより効果が上がるということがわかりました。

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